人事は転職サイトと転職エージェントを上手に使い分けています。ですので正直、転職サイトからの応募か、転職エージェントからの応募なのかで選考の難易度も変わります。
そこで、転職サイトや転職エージェントの特徴や人事の視点・評価をお伝えしていきます。
どう使い分ける?転職サイトと転職エージェントの違い
転職活動では、「転職サイト」や「転職エージェント」を上手に活用することが大切ですので、それぞれの特徴・違いを把握しておくことがおすすめです。それぞれの特徴を簡単にまとめてご紹介します。
転職サイトとは
転職サイトとは、好きな求人を自分で探して、応募していくサイトです。主な転職サイトにはリクナビNEXT、Doda、マイナビ転職、ビズリーチ、Wantedlyなどがあります。
転職サイトを活用するメリットは、
- 自分で好きな求人を自由に選べる
- リサーチに使える(転職市場や自分の市場価値の調査ができる)
- スカウトメールが届くこともある
- エージェントに合う必要がない
- 自分の希望する条件で登録された新規案件を定期的にお知らせしてくれる
逆に転職サイトのデメリットは
- 条件の良い非公開案件(クローズド案件)を探すことができない
- 割と条件が低めの案件が多い(広く浅く募集する案件が多い)
- 情報が多すぎるため、情報収集に時間がかかり、自分に合った案件を見つけるまでが大変
- 志望する企業や仕事内容がぼんやりしていると探すのが難しい
転職活動をするのであれば、どうせなら自分の好きな業界・職種で働きたいと考える人も多いかと思いますので、登録して現状を把握することはとても大切です。
転職サイトごとに特色がありますので、幅広く登録し、自分に合った転職サイトから情報を得るようにしましょう。
転職エージェントとは
転職エージェントとは「企業側の採用条件」と「転職希望者」の間に立って、転職をサポートしてくれるサービスです。キャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーが転職希望者の経歴・スキル・希望職種・給与にマッチした求人情報を紹介してくれます。
リクルートエージェントやdoda(デューダ)、マイナビエージェント、JACリクルートメントなどが主な転職エージェントになります。
転職エージェントを活用するメリットは
- 自分の経歴やスキルに適したおすすめの求人情報を教えてくれる
- 一般的には知名度の低い優良企業などの情報も押さえ、幅広く教えてくれる。
(転職サイトの場合はどうしても既知の企業に目が行きがち) - 特にハイクラスや好条件の求人情報は、転職エージェント経由でしか得られない。
- 転職エージェントを経由して応募した場合、応募書類の準備、面接対策や入社のフォロー、条件交渉まで様々な対応をしてくれるので、安心して転職活動を行うことができる。
- 募集した企業から転職エージェントへ支払われる手数料は、大体年収の30%前後となるため、転職エージェントは売上を上げるために頑張ってくれる
ですので、実績を持っている方、グローバルで戦う大手企業で働きたい方、より上のステージ・年収に挑戦したい方はぜひ転職エージェントに登録してください。
転職エージェントを活用するデメリットとしては、正直ありません。
以前は、若手や実績のない方を転職エージェント経由で採用することは少なく、若手や実績のない方は転職サイトで募集し、会社の中核となるコア人材を転職エージェント経由で募集する傾向にありました。
しかし、これは昔の話です。
現在は若手の採用に対して力を入れている企業も増え、20代や30代前半まで積極的に紹介する転職エージェントも複数あります。自分に合った転職エージェントにぜひ登録し、幅広く情報収集やサポートを得て、転職活動に活かしてください。
【最強】転職サイトや転職エージェントの活用方法
転職サイトや転職エージェントを上手に活用し、転職に活かす方法をお伝えしていきます。
1.転職サイトや転職エージェントは複数登録すべし
転職サイトや転職エージェントによって、抱えている案件は大きく異なります。「転職エージェントならどこでも一緒でしょ」は間違いです。
私も募集する年齢、給与、職種、地域、事業によって転職エージェントや転職サイトを使い分けていました。大事なことなので繰り返し言いますが、採用費用には上限があります。
複数の転職サイトや転職エージェントを活用すればするほど費用がかかりますし、応募者が増えるほど書類選考や面接などの負担が増えます。会社としても採用を効率的・効果的に実施しますので、どのエージェントや転職サイトからどんな人材が応募してきたか、などは細かく精査します。
複数登録してみるとわかりますが、転職エージェントや転職サイトによって紹介される案件は大きく異なります。
2.大手は転職エージェントと転職サイトの両方に登録すべし
大手転職エージェントは、転職サイトも同時に運営しているのが特徴です。逆に言えば、大手エージェントを除いて、転職サイトと転職エージェントを同時に運営している会社はありません。
転職エージェント | 転職サイト |
---|---|
リクルートエージェント | リクナビNEXT |
doda | doda |
マイナビエージェント | マイナビ転職 |
大手では転職エージェントと転職サイトが連携しています。そのため、転職サイト経由で書類選考が通らなくても、転職エージェント経由では書類選考が通過することがあります。
大手転職サイトや転職エージェントは両方に登録しましょう。
3. 大手+専門特化の転職エージェント・転職サイトを上手に使い分けよう
大手の転職サイトや転職エージェントは、いわば総合デパート。超大手から小さな会社まで様々な案件を取り揃えています。
一方でそれ以外は専門分野に特化しています。
- ハイクラス・ミドルクラスに特化した転職サイト・転職エージェント
- 女性の転職に特化した転職サイト・転職エージェント
- 20代に特化した転職サイト・転職エージェント
- イケてるベンチャーに特化した転職サイト・転職エージェント
- エンジニアや技術職に特化した転職サイト・転職エージェント
- 業界に特化した転職サイト・転職エージェント
など、色々な転職サイト・転職エージェントがあります。
大手は幅広い求人を揃えていますが、応募者数も多いため、競争が激しい場合があります。大手に登録して情報を得つつ、特化した転職サイトや転職エージェントにも登録しておきましょう。
最もオススメする転職サイトと転職エージェント
人事担当として、もし転職するなら登録するという転職サイトや転職エージェントを紹介していきます。
リクルートエージェント

おすすめ度: ★★★★★
公式サイト:https://www.r-agent.com/
リクルートエージェントは必ず登録します。リクルートエージェント経由で採用した人材も多くいますが、ハイクラスから一般まで「ハズレが少ない」のが特徴です。
それは、企業側の意図や条件をしっかり理解した上でマッチング率が高く、入社できる可能性が非常に高い人材を紹介してくるからです。
リクルートエージェントはピンからキリまで幅広く案件を抱えているのが特徴ですが、特にハイクラス・ミドルクラスの案件を多く抱えている印象です。
さらに、GoogleやAppleといった超グローバル企業やコンサル、商社、上場企業といった大手、メガベンチャーと呼ばれる会社など、普通の転職エージェントでは手の届かない案件も抱えています。
キャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントも非常にしっかりしているため、初めて転職する方にもオススメです。
転職サイトである「リクナビNEXT」とも連動しているため、リクナビNEXTで気になった案件があれば、転職エージェントに伝えれば、連携して対応してくれます。
doda

おすすめ度: ★★★★★
公式サイト:https://doda.jp/
転職エージェント3大大手の一つでもあるdodaもオススメです。
リクルートエージェントほどハイクラス案件に強いわけではないですが、やはり大手だけあって求人案件も豊富に揃えていますし、担当のキャリアコンサルタントもしっかりしています。またリクルートエージェントでは扱っていないような案件も多く揃えている印象です。
採用担当として、doda経由で紹介を依頼したこともありますが、やはり良い人材を連れてくる = きちんと面談し、マッチした人材を企業に紹介できる企業だと感じ、安心感があります。
派遣も多いけど、昔から正社員の紹介もしている。
マイナビエージェント

おすすめ度: ★★★★★
公式サイト:https://mynavi-agent.jp/
転職エージェント3大大手の一つでもあるマイナビエージェントもオススメです。こちらも豊富な案件を多く抱えていますが、リクルートエージェントやdodaと違った案件を持っています。
またマイナビエージェントは地方に支社を持っているので、地方案件にも強いのが特徴です。
全国で採用を行っていたとき、東京本社で働く人材はリクルートエージェントやdoda、支社の中核となる人材を採用する場合はマイナビエージェントと使い分けることもありました。
もちろん東京や大阪といった大都市案件も多く抱えていて、担当もしっかりしています。
リクルートエージェントやdodaと合わせて3大エージェントは、年齢・キャリアに関係なく登録することをオススメします。
転職サイト・転職エージェントに紹介してもらった企業をもっとよく知るには
転職サイトや転職エージェントの情報を鵜呑みにするのは危険です。
自分に合った会社なのかどうか確かめるために、「給与」「上司や同僚はどんな人がいるのか」「仕事環境」「評価制度」「転勤の実態」など、詳しく確認する必要があります。
そこで、転職活動中には必ず下記のサイトを確認し、「内部情報」を見ておきましょう。
1. ミイダス
公式サイト:https://miidas.jp/
大手転職エージェントのパーソルが行っているサービスです。
簡単なプロフィールを入力するだけで、「現在の自分の市場価値が一体どのぐらいあるのか?」を評価し、年収や紹介される求人を大まかに知ることができます。
ただ、あくまでも参考程度にしておきましょう。企業によって評価は異なるので、もっと高く評価してくれる企業もあれば、もっと低く評価する企業もあるということを認識しておきましょう。
とはいえ、自己評価だけでなく、客観的な視点を持っておくことも大切です。特に初めての転職を行う場合は、市場価値と自己評価がマッチしていないことも多いので、ぜひ確認してみてください。
【年齢別】おすすめ転職サイトと転職エージェント
転職するタイミングで、転職の戦略もアピールの仕方も変わってきます。年齢別の転職活動でのアドバイスとおすすめの転職サービスについてまとめた記事をご紹介します。
20代向け転職サイト

20代の転職は20代前半と20代後半で、活動方針やアピールポイントが大きく別れます。特に20代転職者から質問が多い
- 新卒とした入社した会社で3年以内に辞めていいのか
- 転職回数が多いと不利になるのか
- 未経験への転職はいつから厳しくなるのか
- 何を基準に転職活動を進めていけばよいのか
などについても回答していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
【関連記事】【20代向け】人事が教える20代の転職で役立つ転職サイトと転職エージェント
30代向け転職サイト

「35歳定年説」があるように、30代の転職も前半と後半でアピールすべきポイントが大きく異なってきます。年収があがってくるからこそ、条件もより厳しい環境に置かれる傾向にあります。そこで、
- 30代で初めての転職をする方に伝えておきたい落とし穴
- 35歳転職限界説は本当か
- 実績やスキルより、人事が厳しく見ている視点とは
- キャリアをどういうふうに考えていけばよいのか
などについてアドバイスしていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
【関連記事】【30代向け】人事が教える30代の転職で役立つ転職サイトと転職エージェント
【裏側】転職エージェント経由は内定しやすい?
転職エージェント経由の方が書類選考の通過率が高いという声も散見します。事実、書類選考の通過率は高いですが、内定が出るかどうかは別の話です。
会うのはタダですが、内定にはお金が発生するためです。
知っている人も多いかもしれませんが、転職エージェントは求職者が転職成功しなければ売上が上がりません。
転職者の年収の30%程度が紹介手数料として転職エージェントに支払われます。例えば、求職者の年収が500万円であれば150万円が手数料として支払われます。
その紹介手数料は会社としては非常に大きなものです。失敗できない金額ですので、エージェント経由の面談・採用は非常に慎重に臨みます。
しかし、そこは転職エージェントもしっかりと理解していますので、求職者に対して年齢・経歴・スキルに合った募集案件を紹介してきます。応募書類や面接のアドバイスもして、転職がうまくいくようにサポートしてくれます。また、年収が少しでも上がるように会社と交渉してくれます。
その交渉が成果をあげるかどうかは、転職エージェントの担当次第です。担当している企業と関係性を十分に作っており、良い人材を紹介してきた担当者であれば、採用側も信頼して交渉に臨みます。
要は、担当者が一番大事だということです。
もちろん良い担当者も多くいますが、中には売上を立てるために、求職者の希望と異なる求人を紹介する方もいます。また可能性が低い案件については紹介の手間を省くために、紹介自体を断る担当者もいます。
良い担当者と巡り合わなかった場合は、他の転職エージェントへ切り替えた方が良いでしょう。
最初のエージェントが紹介してくれなかった案件を切り替えた先の転職エージェントが交渉してくれるかどうかは、応募する企業と切り替えた先の転職エージェントとの関係性によります。もし希望する会社とその転職エージェントが関係性を持っていたら、採用担当者へ情報が伝えられ、書類選考・面談に進む可能性があります。
その点、大手の転職エージェントは様々な会社と関係性を持っているので、安心して依頼できます。
転職が当たり前の時代にどう生きるか
新卒として入社した会社に、定年まで勤めるというのはもはや幻想です。また、新卒しか採用しない会社も減りつつあります。
時代の変化が非常に早くなっているため、人材を育成するスピードが間に合わなくなってきました。以前は中途採用など一切行っていなかった企業も、今は中途採用を積極的に開始しています。
それと同時に行われいるのが「早期退職」や「リストラ」です。
対象は40代後半から50代の最も給与が高く、最も変化に弱い年代です。一部の人材を除いて、この年代の多くは給与と現在の成果が合っていません。会社としては若い人材を入れて、変化に柔軟に対応していきたいと考えていますし、人事制度もそうなるように変えてきていきます。
今の時代は20代、30代にとっては非常に大きなチャンスです。転職市場が大きく開かれているため、年収も実績もキャリアも積みやすくなってきています。
一方で、どんなキャリアを積み上げたとしても、定年まで逃げ切るのが難しい時代とも言えます。今培ったスキル・キャリアが20年後、30年後も同じ会社で通用するとは限りません。
そのために、どんな人材が今求められているのか、どんなスキルが今求められているのか、常に情報収集し、自分自身も変化していく必要があります。
そのために転職活動を始めるタイミングで情報収集を開始するのではなく、転職など全く興味のない段階から情報収集を行っていく必要があります。
- 今どんな業界で、どんな職種で求人が行われているのか
- その給与は一体いくらなのか
- どんなスキルが求められているのか
そうした情報を常に収集していくことで、
- 現在の自分の市場の価値
- これから市場価値をあげるために必要なスキル
- 今の会社でそのスキルをどうすれば身に付けられるか
を考え、新しい世の中を生きていくために大切になってきます。さらに活躍しようとするのであれば、なおさらです。
ですので、このページでご紹介した転職サイトや転職エージェントには必ず登録し、日頃から情報収集を心がけていってください。
単純に自分の希望とする業界・職種や今までの経歴とは全くない業界・職種も幅広く見ていくことが大切です。
必ずいつか転職する日が来ます。そして、会社は無慈悲です。あなたの生活を決して保証しません。会社に必要な人材をただ採用するだけです。
転職が来たその時に慌てないよう、日頃から準備しておくことをオススメします。